労働時間の端数処理

スタッフ紹介

代表
斯波愼
「若い経営者の成長支援」を事務所方針に掲げる熱い心の理論派を自認。顧問先支援に深入りしすぎ、利益は後回し。「利他の心」を信条に法人運営を行う。スタッフの社労士合格を心待ちにしている。
アシスタント
安藤夏弥
入社後1年半が過ぎ、企業設置に関する各種届け出や従業員の入退社手続きまで、社労士事務所で担当するほとんどの手続きを経験しました。今回新たなスタッフが入社したこともあり、今後はスタッフの指導・教育を担当する立場になります。
初心を忘れず、事務所で学んだ知識・経験をより高い視点で見つめ直し、後輩に引き継ぐことができればと考えています。
アシスタント
永野陽子
11月1日付で入社した永野です。前職の私立中高一貫校で事務職員として勤務する中で、他者・組織の支えになりたいと考えるようになり、社労士という資格に興味を持ちました。早く当法人の戦力になるよう努力することはもちろんですが、事務手続きと社労士受験知識の理解を並行して進め、高い専門知識と効率的な事務処理ができるスタッフを目指したいと思います。
経理統括
太田和幸
他社の役員を兼務しながら、当法人の経理を含めた運営管理を担当。タカ派の代表を諫める人間味溢れる慎重派。代表の合理主義と経理統括の温情主義がぶつかることが多く、周りはハラハラドキドキの毎日。

労働時間の端数処理

労基法第24条で賃金の全額払い、第37条で時間外等の賃金割増の必要性が定められていますが、行政通達により、「1か月における時間外労働・休日労働・深夜労働の各時間数の合計に1時間未満の端数がある場合は、30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること」が認められています。これはどういう意味なんですか。

これは、常に労働者の不利益になるものではなく、事務の簡便化を目的としたものと認められるため、行政解釈として「労基法24条及び37条違反を問わない」との宣言だね。

労基法第26条の休業手当と同じような発想ですか。使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。これも労基法第24条の全額払いの原則を緩和しています。
一方で、民法第536条の規定により、従業員は残額100分の40の賃金請求権を持っています。

非常に良い視点だね。労基法第26条の緩和解釈は、従業員の経済生活の維持と企業の賃金支払い能力のバランスをとったんだね。今回問題としている労基法第24条と第37条の緩和解釈は、従業員の不利益の発生頻度と中小企業の賃金計算業務簡便化のバランスを図ったということだね。労基法は民法と違い、強行法規だから、場合によっては企業の経営能力に寄り添った解釈も必要なんだね。

いろんな会社の就業規則を見ると、「休業手当は平均賃金の100分の60とする。」と記載されていることがほとんどですが、時間外労働の30分処理をする については、就業規則に記載する必要があるのですか。

そういうことだね。時間外労働の30分処理は、実態法上の権利として存在するもの を切り捨てることだから、従業員の同意が必要になるね。ただ、個別同意じゃなく、 就業規則への記載による包括同意で十分だろうね。

代表と安藤さんの会話には全然ついていけませんでした。ただ、わかったこともあります。労基法と民法は切っても切れない関係にあること、労基法は強行法規なんだなということです。私も早くお二人の会話に参加できる知識を身に付けたいと思います。